フナクイムシは船の中に餌場を見つけると同時に住処を確保します。

フナクイムシの特徴

人間に被害を及ぼす害虫についてはとかく屋内(人家)に生息する虫に注目が集まりがちですが、実は屋外にも多くの害虫が生息しています。
そしてそうした害虫は人間に与える被害の大きさから言っても、屋内に生息する害虫と比べて全く劣りません。
というよりもむしろ、屋外の害虫の方がより危険度が高いと言うこともできます。
ここではそうした害虫の中から、特にフナクイムシにスポットライトを当ててその特徴を紹介していきたいと思います。

 

フナクイムシとは

おそらく、フナクイムシと聞いても「何それ?」と思われる方が多数だと思いますので、まず初めにフナクイムシがどんな生物なのかを説明していきます。
フナクイムシはその名前から虫だと思われがちですが、実際にはフナクイムシ科に属する小型の2枚貝です。
ただし、これもまたよく間違われるのですが、2枚貝と言っても一般的な2枚貝とはかなり異なった外形をしています。
貝殻は1センチほどでここまでは普通なのですが、その貝が覆っているのは体の極一部に過ぎず、それ以外の体の大部分は貝から露出しているのです。
外形の全体は蠕虫(ぜんちゅう)状で、貝殻の前半部はヤスリ状になっています。
ですので、他の2枚貝と比べるとかなり変わった形状をしているということになります。
体長としては小さいもので数十センチ、大きいものであれば1メートルを超える種も存在します。
生存可能な温度は0.7℃~30℃程で、25℃を超えると成長がストップします。
また、生殖可能な温度は11℃~15℃の間だとされています。

 

フナクイムシによる被害

フナクイムシの被害を受けやすい木船

さてそれでは、フナクイムシによる被害とは一体どのようなものなのでしょうか。
この点については多くの方が既にお気付きだと思いますが、フナクイムシはその名の通り、船を食い荒らしてしまいます。
しかし、船であれば全てを食い荒らすかと言うとそうではありません。
フナクイムシが食べるのは木造の船舶だけです。
それは何故かと言えば、フナクイムシがシロアリと同様に木材を食べて生きているからです。

 

フナクイムシは貝殻のヤスリ状になった部分で船底の外板に穴を堀り、そこから木材の内部に侵入していきます。
そして、体内の特殊な器官の中に共生するバクテリアから酵素を分泌して、木材に含まれるセルロースを消化していきます。
さらにフナクイムシは、自らで空けた木材の穴を巣穴に変えてしまいます。
穴の中に薄い石灰質の膜を張り付けて巣穴を成形し、さらにはそこに外界に通じる開口部を作って水管を通して水の出し入れをするということまで行います。
つまり、餌場を見つけると同時に自らの住処を確保するわけです。
そして、こうしてフナクイムシに食い荒らされてしまった船舶は当然のことながらボロボロになってしまいます。
被害の程度はもちろんケースバイケースですが、ひどい場合にはフナクイムシに空けられた穴から浸水したり、船体にひびが入ってしまったりします。
もっとも、近年では船体の底に鉄板を張るといった方法での対策が進んでおり、フナクイムシによる被害はかなり軽減されてきています。